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建築物の衛生環境確保に必要な「空気環境測定」
特定建築物と呼ばれる建物(公共施設や店舗、オフィスなど延べ床面積が3000?以上、また学校は8000?以上の建物)は、「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」によって空気環境測定を行うことになっています。
空気環境測定では6項目において、2か月に1回の割合で測定することが義務付けられています。その項目は、1.浮遊粉じん、2.一酸化炭素、3.二酸化炭素、4.温度、5.湿度、6.気流となっていまます。空気環境の設備には、空気の浄化と温度・湿度・流量を調整して供給する「空気調和設備」と、空気の浄化と流量を調整して供給する「機械換気設備」の2つの設備があります。機械換気設備は、温度と湿度の測定は行いません。また空気調和設備を設けいている建築物の全ての居室には、プラスして7.ホルムアルデヒドの測定も行ないます。
空気環境測定のホルムアルデヒドを測定する方法として、「アクティブ法」、「パッシブ法」、「検知管法」の3つがあります。アクティブ法は、厚生労働省の標準的な採取方法として示されている方法で、新築の場合は30分間、居住住宅においては24時間ポンプで空気吸引し、1か所に付き2検体採取します。この目的は、気温が最も高くなる時間帯で測定を実施するので、室内における最高濃度を把握することができるからです。
パッシブ法は拡散法とも呼ばれており、方法は室内に8時間〜24時間採取器具を設置して測定します。この目的は、室内に長時間設置して採取するため、室内の平均的濃度を把握することができるからです。
検知管法は簡易法とも呼ばれており、方法は検知管をセットしたポンプで室内の空気を30分間吸引して測定を行います。簡易方法なため上記2つの方法と比べても精度は高くはありませんが、30分間の吸引測定し、すぐその場で結果を把握することができます。ただし、測定可能な項目はホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼンに限定されます。
アクティブ法とパッシブ法は似ているように見えますが、アクティブ法は1か所で2検体採取することと、室内の最高濃度を把握できる点、パッシブ法は平均的濃度を把握できる点というところにちがいがあります。
ホルムアルデヒドに関して、空気環境測定を実施するのはどの時期が良いのでしょう。これは一般的には、新築工事・改修工事の完了後に行われることが多いですが、居住空間は適正範囲であっても、搬入する家具などからも検出される場合もあります。よって、こうしたことを懸念する場合は家具搬入後に測定したり、場合・目的によって随時測定します。